盲ろう者とは
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見えない、聞こえない。見えにくい、聞こえにくい。
「盲ろう者」とは、目と耳の両方に障がいを併せもつ人のことを言います。
社会福祉法⼈ 全国盲ろう者協会が行った「平成24年度 盲ろう者に関する実態調査」によると、⽇本には推定14,000⼈、北海道に約800⼈、札幌市では約150⼈程度の盲ろう者がいるとみられています。しかし、「盲ろう」という障がいは、まだ社会的に十分知られておらず、法的な定義づけもされていないことから、実態の把握が非常に難しいのが現状です。
・全盲ろう
まったく⾒えず、まったく聞こえない
・全盲難聴
まったく⾒えず、聞こえにくい
・弱視ろう
⾒えにくく、まったく聞こえない
・弱視難聴
⾒えにくく、聞こえにくい
視覚と聴覚、それぞれの異なる状態が重なり合うことから、盲ろう者の障がいの状況はとても多様です。疾病などにより徐々に視力・聴力が低下した人もいれば、先にどちらかの障がいがあった状態から、もう一つの障がいを重ねて持つようになった人、生まれたときから盲ろうである人まで様々です。2つの障がいが発症した時期やそれまでの成育・生活の環境といった、盲ろうの状態に至るまでの経緯によっても、社会生活上での不便や、コミュニケーション方法の選択など、大きな違いがでてきます。
先天性盲ろう者 | 生まれつき、または言葉を覚える年齢までに視覚と聴覚に障がいをもった人 |
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盲ベースの盲ろう者 | 先に視覚の障がいが生じたあと、さらに聴覚の障がいを生じた人 |
ろうベースの盲ろう者 | 先に聴覚の障がいが生じたあと、さらに視覚の障がいを生じた人 |
後天性盲ろう者 | 成人以後、病気や事故などにより、視覚と聴覚に障がいが生じた人 |
主要な感覚器官である視覚と聴覚の両方に障がいがある盲ろう者は、1人での外出や周りの人とのコミュニケーション、情報を得るといったことが難しい「3つの困難」があるとされています。これらは複合的な障壁となって盲ろう者の生活を大きく制限しています。
盲ろう者が活用できる福祉制度やサービスもありますが、自分1人で役所などへ相談に行くことが難しい盲ろう者にとって、そのような制度があること自体を知らないというケースも多くあります。このように、盲ろう者本人やご家族へ、必要な情報やサポートが届かないことで、多くの不便や困難を抱えながら社会的に孤立した生活をおくっている盲ろう者が沢山いるとみられています。
繋がることが、はじめの一歩
では、盲ろう者は、そのような障壁の中でしか生活することはできないのでしょうか?
もちろん、違います。自分にあったコミュニケーション方法や情報機器の操作を学んだり、盲ろう者を対象とした外出・移動支援のサービスを利用したり、色々な方法によって困難は大きく改善することができます。そのためには、まず適切な情報と繋がることが大切な一歩です。
私たちNPO法人札幌盲ろう者福祉協会では、社会や家庭で孤立する盲ろう者を探すことを「掘り起こし」と呼び、「独りぼっちの盲ろう者をなくすため」の活動に取り組んでいます。
コミュニケーション方法
盲ろう者にとって、コミュニケーション方法の習得は、とても重要なことです。
情報を得る手段を身につけるほか、双方向のやりとりができるようになることで、会話を楽しんだり、自らも発信をしたり、仲間と知識や情報を共有するなど、暮らしにも大きな影響が生まれます。
触手話・弱視手話
盲ろう者に合わせた手話で伝える方法です。触手話は、盲ろう者が手で触れて手話を読み取ります。弱視手話は、盲ろう者の見やすい距離や視野の範囲に合わせて手話表現をします。
指点字
点字は、6つの点で構成されています。指点字とは、盲ろう者の指を点字タイプライターに見立てて、点字を打つように叩くことで伝えます。
手描き文字
(手のひら書き)
盲ろう者の手のひらに文字を書いて伝える方法です。手話や点字などの特別な知識がなく、また盲ろう者と接したことがない人でも、比較的容易にコミュニケーションを取りやすい方法です。
筆記
盲ろう者の読みやすい字の大きさや太さ、文字の色などに合わせて書いて伝えます。スムーズに書いて情報を伝えるため、ペンや紙の選び方にも工夫をします。
音声
盲ろう者が聞き取りやすい声の高さや大きさに合わせて話をします。盲ろう者によって左右の聞きやすい耳元で話したり、補聴器のマイクを使ったりします。周囲の騒音や雑音へも配慮します。
この他にも、パソコンの文字画面や、速記用点字タイプライター「ブリスタ」、指文字、点字ディスプレイや情報機器を使用するなど、色々なコミュニケーション方法があります。
私たちは、このコミュニケーション方法の学習を大切な活動の1つと考え、定期的な学習会を開いて、みんなで楽しく学んでいます。